2024年11月9日、改修が終わったばかりの札幌市教育文化会館小ホールにて、札幌音楽家協議会が隔年で開催するコンサート•コンコルデ〈十九世紀末を彩った作曲家たち〉に出演させていただきました。
晩秋の積雪で移動がとても面倒な中、また、平日にも関わらず多くの素晴らしい演奏会が開催されている中、たくさんのお力をいただきまして、ありがとうございました。
演奏会のお題は、選びきれないほどの偉大な作品が溢れる時代です。札幌で活躍する素敵な仲間たちから良い刺激を受けながら、札幌コンセルヴァトワールでもお世話になっている村上和歌子先生に共演をお願いし、私にとって存在感の大きい作曲家たちの2作品をご紹介させていただきました。
村上先生と私の共通の留学先イギリスの作曲家エルガー(1857-1934)によるヴィルレーOp.4-3は、初めて聴いた時に涙が出たほどの美しく、今回初めて演奏させていただきました。とても短い小品ですが、憧れに向かって手を伸ばすような跳躍からゆっくりと下行する音型が、エルガーの後の大作「ジェロンティアスの夢」を思わせます。もう1曲、イザイ(1858-1931)編による、サン=サーンス(1835-1921)の「ワルツ形式の練習曲Op.52」によるカプリスは、私の2013年の京都でのリサイタルと2014年のルーマニアでのリサイタルで取り上げた曲で、10年前とは違う視点で再挑戦することができました。原曲のピアノ曲への憧れとリスペクトが感じられ、そこにヴァイオリンならではの表現が加わった見事な編曲です。うわべの華やかさだけでない深い魅力を聴かせたいと意気込みましたが、演奏を経て、まだまだ私の課題は山積みです。
積もった雪と雹がいったん解けたモエレ沼公園は、まだ秋色でしたが、今はまた雪が降り始めています。
(岩渕)
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